ガサガサ音を立てて書類の山が崩れた.
「あー…、」
片付く気配のない自室の現状に目を覆いたくなる.
諦めて崩れた紙を投げやりに掻き集める.
「…?」
指先に当たった硬いそれを引き寄せる.
埃を被った小さな箱は確かに自分のもの.
…とりあえず彼を呼びに行こうか.
「これ、ですか?」
「たぶん.」
目の前の箱に興味深そうに視線を送る彼を促して鍵を開けさせる.
乾いた音がしたのを確認して蓋を上げる.
彼は面白そうに1枚、中から写真を取り出した.
「ああ、教団に入った頃のだ.」
写っているのは数年前の自分.
真新しい白衣に堅い表情.
懐かしい、というよりは気恥ずかしい.
「隣の人は?」
「支部のヤツらだな.」
今頃どうしているだろうか.
写真を捲りながら時折笑い声が聞こえる.
「そんなに面白いか?」
「はい、とても.…これは?」
小生意気な目をした自分と皺だらけの顔で微笑む老人がそこにいた.
「若いっていうか、幼いですね.」
それはあまりに懐かしい写真だった.
博士の研究室に入ったのは確か15の時.
とにかく優しい人で、俺がどんなに失敗しても愉しげに笑っていた.
多くを教えてくれた博士も、今ではどうしているか分からない.
「なんだか不思議です.」
「あのなあ、俺にだって若い頃はあるんだぞ.」
あの頃は予想もしなかった、今の自分.
「今のお前らより、余程子供だったよ.」
「想像できません.」
アレンの即答に複雑な気分を抱えながら箱の中身を漁ってみる.
彼は写真に気を取られて気づいていないようだが、褪せた紙の束の下でそれは鈍く光っていた.
「あの、箱も見つかったし、これ返しますね.」
「ああ、」
顔を上げた彼から差し出された鍵を受け取る.
「じゃあ、替わりにこれ.」
首を傾げる彼の掌にそれを落とす.
「…?」
「この部屋の鍵.」
教団本部に移ったとき、書籍ばかりを詰め込んだトランクを片手に室長に挨拶に行った.
案内された部屋の前で渡された2つの鍵.
失くさないようにと仕舞ったはずなのに、その存在さえも忘れていたなんて.
頼りない自分の記憶力に頭を抱えたくなった.
「だから、いつでも来ていいってこと.まあ、俺あまり居ないけど….」
彼は渡された鍵をまじまじと見つめている.
これならば恋人への贈り物に値するだろう.
嬉しそうにはにかんだ彼を見てそう確信するのだった.
合鍵ってゆうベタなネタを一度やってみたかったんです
それにしても、どうして私はこう、稚拙な文しか書けないんだろう…
もう少し成長したい今日この頃
09.04.05